外壁の素材について
外壁材の種類は大きく「塗り壁」と「サイディング」に分けられます。
塗り壁は、さらに「モルタル」「土塗り」「漆喰(しっくい)」などに分けることができ、ひと昔前は「モルタル」の外壁も多く見られましたが、現在は「サイディング」が7~8割と圧倒的なシェアを占めています。
「モルタル」は「吹付け仕上げ塗材」のことで、セメント・砂・水を混ぜて作ったモルタルを下地とし、上から塗料を吹き付けで仕上げる工法です。
デザインの自由度が高く、曲面の壁にも問題なく塗装できますが、一方ではひび割れや汚れが目立ちやすい材料でもあります。
「漆喰」は水酸化カルシウムや炭酸カルシウムを主成分とし、城郭や土蔵にも使用されています。漆喰は不燃性素材で燃えにくく、美しい白色が特徴ですが、一方で汚れが目立つというデメリットがあり、汚れやひび割れを放置していると古い印象を与えてしまいます。
「サイディング」はセメントや木質をボード状に整形した人造外壁材のことで、新築の外壁によく見られるものです。デザインも豊富で、工場で作ったものを現場で設置するため品質も安定しています。さらにサイディングは、窯業(ようぎょう)系・金属系・木質系・樹脂系の4種類に分けられますが、現在は窯業系のサイディング材が主流です。
ちなみに、外壁を張り替えるとなったときには、どのような基準で外壁材を選ぶのがいいのでしょうか?
価格の面ではモルタルが安価ですが、施工品質やモルタルの質次第で大きく施工金額が変ります。窯業系サイディングはデザイン性に優れ、新築でも人気の素材ですので、ある程度の価格でデザイン性の優れた家にしたい方に向いているでしょう。樹脂系サイディングは耐久性に優れますが、価格が高額になるケースも多いようです。
塗装に適した時期
外壁塗装に最も適した季節は、塗料が乾きやすい「春(4~5月)か秋(9~10月)」で、塗装業界の繁忙期にもなります。この季節は、平常時に比べ、施工金額も高くなる傾向にあります。
また、多くの塗料メーカーが提示している「外壁塗装に適さない気候条件」は、「湿度85%以上、気温5℃以下」とされています。
地域によっても気候条件は違いますが、一般的に雨の日が多く湿度が高い6月頃、氷点下近くまで気温が下がる1月~2月頃です。積雪が多い地域や雨の多い地域では、外壁塗装できない条件が多いのかもしれません。
日照時間が短く湿度が高い雨の日や気温が低い冬は塗料が乾くのに時間がかかります。
塗料が固まるのが遅くなると、固まる途中に水滴がついたり、ホコリがつくリスクが高まり、きれいな仕上がりが期待できません。
また、湿度が高い日や十分に乾く前に夜露や霜が降りる時に塗装すると、ブラッシング(白化・かぶりとも言い、塗膜の表面が霧がかかったように白く濁り、つやがなくなってしまう現象)を引き起こしてしまい、塗装後の塗膜剥離の原因になる場合もあります。
塗料は水分を飛ばしながら固まりますが、周りの水分が多い湿度が高めの状態だと、塗料が冷やされ、固まりにくくなり、結露を起こしてしまいます。
ブラッシングは、湿度が高いときに塗膜から急激に溶剤が蒸発し、その気化熱によって塗膜の表面温度が下がり、空気中の水分が塗装面で凝結してしまうことで起こります。
このような条件から、できるだけ雨の多い時期や寒い時期を避けて塗装することをお勧めします。
塗料の種類と特徴
塗料を選ぶ際には、目的に合った塗料を選ぶことが大切ですが、住宅の外壁塗装の場合、塗料の種類は主に耐久年数と価格で選ぶことが多いものです。
一般的な外壁塗装の塗料の種類は アクリル < ウレタン < シリコン < フッ素 が一般的で、
耐久年数はアクリルからフッ素へと長くなり、値段もそれに比例して高くなります。
同じ素材の塗料でも、メーカーによって塗料の特徴が異なるため、選ぶ塗料によって塗り替えサイクルも変わり、どの塗料があなたの住まいにとってベストな選択なのかを考える必要があります。
アクリルは紫外線に弱く湿気を通しやすいため耐久性が低く、頻繁に塗り替えられる場所には適していますが、外壁塗装にはあまりお勧めできません。
ウレタンはアクリルよりは紫外線に強く、塗料が柔らかいことから雨樋や雨戸など鉄部や木部の形状が複雑な部分の塗装に適していますが、シリコンよりは性能が劣ります。
近年の主流は価格と機能のコストパフォーマンスが最も良く、防汚性能が高い「シリコン系」です。
また、シリコン系塗料にも次のような種類があり、仕上がりも異なります。
水性1液型 耐久性や密着性は油性と比べると劣り、ホームセンターなどで売られている水性塗料と同等品です。大手メーカーがおもに使っている塗料で、扱いやすく環境への負担が少ないです。
水性1液型 | 耐久性や密着性は油性と比べると劣り、ホームセンターなどで売られている水性塗料と同等品です。大手メーカーがおもに使っている塗料で、扱いやすく環境への負担が少ないです |
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溶剤(油性)1液型 | 水性塗料より耐久性が高く、現在主流となっている塗料です。一般的な塗装店でもっとも使われています。ホームセンターなどで売られている油性塗料と同等品です。 |
溶剤(油性)2液型 | 使用する際に、硬化剤を混ぜる必要があります。耐久性、密着性ともに水溶1液型、溶剤1液型よりもはるかにすぐれているのが、「溶剤(油性)2液型」の塗料です。塗装のプロが使用する一級品です。 また、「フッ素塗料」は高層ビルなどにも使用されるだけあって、耐久年数も15年~20年と長いことから金額が高くなりますが、その分長期的に見れば安価に済むとも考えられます。 その他「光触媒」「セラミック」など様々な種類がありますが、外壁材の種類や既存の塗料の種類を塗装業者さんに確認してもらった上で、それぞれの特徴と今後のメンテナンスのこともよく考えて検討しましょう。 |
塗料の色選び
外壁塗装は印象を左右する”家の顔”です。機能とともにこだわりたいのが、住まいの美観やイメージを大きく左右する色(カラー)です。
色選びのポイント
サンプルや色見本に比べて、実際に塗装する外壁は広範囲になります。このため、見本よりも色の印象が強くなり、色を選んだときのイメージと違うということが結構ありますので、注意したい点を以下にまとめてみました。
・小さな色見本だけで判断せずに、A4以上のサイズで色見本を確認しましょう。
・蛍光灯や日光など、光源を変えて色見本の色の変化を確認しましょう。
・同じ色の建物があれば、直に目で見て印象をチェックしてみましょう。
・施工業者に“カラーシミュレーション”を作成してもらいましょう。
(パソコンや印刷物にて、外壁塗装をおこなった家の完成形を確認することができるのが、カラーシミュレーションです。)
・実際の施工前に必ず“試し塗り”をおこないましょう。
”家の顔”である外壁の色選びは、生活の質を左右するといっても過言ではありません。
外壁塗装の色選びには、失敗しないためのコツが満ち溢れています。裏を返せばそれだけ失敗例が多いということ。高額な費用をかけるのであれば、予備知識を備え信頼に足る塗装業者を選ぶことが鍵になります。
下地処理=高圧洗浄の必要性
外壁や屋根の上から塗装をするなら、そのまま塗ってしまえば良さそうなのに、なぜ「高圧洗浄」をする必要があるのでしょうか?
外壁や屋根の表面には空気中の化学物質、カビやコケ、藻、汚れなどが不着しています。
また、塗料そのものが経年劣化して粉状になり、触るとチョークの様に手に着く「チョーキング」という状態になっていることがあります。
これらの汚れやチョーキングの状態になった塗膜の上から塗料を塗っても、外壁への密着力がないため、新しく塗った塗料まで汚れと一緒に剥がれてしまいます。
つまり、塗料がきちんと外壁に密着し、剥がれにくくするために高圧洗浄で古い塗料ごと削り取るように洗浄する下地処理が不可欠なのです。
この作業を怠ると、本来の耐用年数よりも前に塗装面が劣化し、早めに外壁塗装が必要になってしまうことが考えられます。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用相場について、一言で申し上げるのは大変難しいです。
例えば、お家の外壁や屋根の状態が良好で、築10年位で塗装プランを立てていらっしゃる家であれば、工事の項目も自体も少なく、塗料メーカーが推奨するようなマニュアル通りの塗装を行えば出来る塗装工事内容になるので、こういった家であれば相場はわかりやすいです。
ですが、外壁や屋根の状態が悪いと、それに伴って工事の項目が増えてきますので、費用は膨らんできます。
同じ塗料でも費用が違う理由とは?
外壁塗装の相場費用
塗料 | 1㎡当たりの単価 |
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アクリル塗料 | 1,000円~1,500円 |
ウレタン塗料 | 1,800円~2,000円 |
シリコン塗料 | 2,500円~3,500円 |
フッ素塗料 | 3,500円~5,500円 |
無機塗料 | 5,000円~5,500円 |
一般的に塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの種類がありますが、耐久性の順で費用はどんどん高額になります。
しかし、単純にこの4種類で耐久性も費用も比例しているかというと、一概にそうとも言えません。
一般的に良く使われている「シリコン塗料」ですら、その中でも大きく5種類に分ける事が出来ます。
一般的にグレードの低い順から言いますと、
・水性シリコンの1液タイプ(標準で使用されているものです。)
・水性シリコンの2液タイプ。
・弱溶剤シリコンの1液タイプ。(水性から溶剤に変わりました。油性です。)
・弱溶剤シリコンの2液タイプ。
・強溶剤シリコンの2液タイプ。
これはシリコン塗料だけでの話ではなく、ウレタン塗料や他の塗料でも同じ事が言えます。
基本的には「シリコン」「ウレタン」でも、その中には5種類のグレードがあるという事です。
一番グレードの低い「水性シリコンの1液タイプ」と一番グレードの高い「強溶剤シリコンの2液タイプ」では、同じシリコンでも費用が全然違ってきます。
耐用年数も、「水性シリコンの1液タイプで、およそ10年、強溶剤シリコンの2液タイプで、およそ15年と言われ、同じシリコン塗料でもこれだけの違いが出てきます。
一般的にはシリコン塗料の方がウレタン塗料よりも費用相場もグレードも高いですが、ウレタン塗料の中で最も高いグレードの強溶剤シリコンの2液タイプと、シリコン塗料の最低グレードの水性シリコンの1液タイプでは、ウレタン塗料の方が費用もグレードも高くなります。
ここまで知識のある方お客様はほとんどいませんので、「シリコン」と言われれば当然「グレードの高い塗料」というイメージになり、「ウレタン」と言われれば「そこそこのグレードの塗料」というイメージを持たれてしまいます。
費用もそうですが、長い目で見た時に「良い塗料」で「良い塗装」をした方が、最終的にはトータルコストを抑えられるので、高いグレードを選択される方が多いのが実情です。
外壁塗装の費用は家ごとに異なります
外壁塗装の費用相場は私たちプロから見ても本当に難しいです。
しかし、重要なのは「金額に見合った工事」というのが適正価格になると言う事です。
「安くて良い工事」というのはどうしても無理が出てきます。
例外なのは悪徳業者と言われている人達で、例えば、200万円という高い費用で、内容は120万円の工事、といったように、費用が高いから質の良い工事とは限りません。
御見積が高額でも、「材料が高額で高品質」で「施工方法がしっかりしている」という事が最低条件で当てはまっていれば、その価格がその家の適正価格になります。
ですので、お客様が納得される内容で80万円前後の「安く塗って綺麗になる」外壁塗装工事をされてももちろん良いと思います。
100万円〜120万円の費用を掛けてしっかりと「家を守るグレード」の塗装をされても良いと思います。
もちろん、この間でも細かく費用相場は分かれてきますので、外壁塗装業者を比較してみる事をおすすめします。
比較する事で、いろんな業者さんからアドバイスももらえ、心に決めている塗装会社があっても無くても、一度複数の良い業者さんから見積もりを取ってみると、また別の角度から外壁塗装や費用を見る事が出来ます。
お客様が本当にご納得されて外壁塗装が行える事を心より願っております。